塩水洗浄で便秘が治る

塩水洗浄で便秘が治るという噂に注意! その仕組みと問題点を解説!

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便秘解消やダイエットに効果のある方法として、2016年始めごろから塩水洗浄がインターネットの情報サイトで紹介され話題となっていました。「ソルトウォーターバッシング」や「レモネードダイエット」という名前でも呼ばれており、さまざまなネットメディアで紹介されていましたので、ご存じの方も多いと思います。

1リットルの塩水を短時間で飲みきるという方法で、便秘が解消したという方がいる一方、嘔吐や下痢など、体調不良の可能性も指摘されていました。2017年1月、NHKが塩水洗浄を取り上げたことをきっかけに改めてその問題点が注目されています。

この記事では、塩水洗浄の問題点や危険性、そして安全な便秘解消方法について紹介していきましょう。

  1. 便秘に塩水洗浄が効くといわれる理由
  2. 塩水洗浄の危険性
  3. 安全に便秘を解消する方法
  4. まとめ

1.便秘に塩水洗浄が効くといわれる理由

はじめに、塩水洗浄のやり方、なぜ効果があるとされていたのかについて解説します。

1-1.塩水洗浄のやり方

塩水洗浄は、1リットルの水に10mg(小さじ2杯分)の食塩を溶かして生理用食塩水を作り、それを20分以内に飲みきるというものです。朝起きてすぐの胃が空っぽの状態の時にやるのが最も効果的といわれていました。実際、水を飲んで1時間ほどすると自然に便意がおき、便が大量に出ます。

そのため、便秘解消に効果があるとしてネットの情報サイトで紹介されると同時に、たくさんの方が実行するようになりました。

1-2.大量に塩水を飲むと便が出る仕組み

腸がぜん動運動を起こすと直腸内から肛門の方へ便が移動し、便意が起こります。腸のぜん動運動が起こるのは、便が溜まったときや胃の中に食べ物や飲み物が入ってきた時です。そのため、体内に入る食べ物や飲み物の量が増えるほど、ぜん動運動は起こりやすくなります。

それに加えて、水は消化の必要がないため、胃を通過して小腸や大腸へ移動することが容易です。体内に吸収しきれない水分は尿となって排出されますが、短時間に大量の水を飲むと大便と共に排出されることもあります。ですから、短時間に大量の水を飲むと便が出やすくなるのです。

2.塩水洗浄の危険性

塩水洗浄の問題点は、短時間に大量の水を飲むという点にあります。病院でも大腸を検査する際、腸内のものを排出する液体の薬を飲みますが、これは1リットルを約1時間かけて飲むものです。

また、空腹時に大量の水を飲むと、縮こまっていた胃が一気に拡張します。そのため、胃に大きな負担がかかって嘔吐の原因となるのです。しかも、大量の水を短時間で飲むことで、血液中のナトリウムが薄まって低ナトリウム血症を引き起こす恐れもあります。塩水でもナトリウムの希釈は防げません。低ナトリウム血症になると、意識の消失や筋肉のけいれん・最悪の場合は心不全を引き起こすこともあります。

問題点をまとめると、

  • 一気に大量の水を飲むことにより、胃に負担がかかり嘔吐の原因となる。
  • 嘔吐によって食道が傷ついて出血するマロリー・ワイス症候群になるの危険性がある。
  • 低ナトリウム血症となり、意識消失や筋肉のけいれんが起こる可能性がある。
  • 下痢になることにより、腸内環境が悪化する恐れがある。

ということです。効果があったという方も多いようですが、むやみに真似をしないように注意してください。

3.安全に便秘を解消する方法

この項では、安全に便秘を解消する方法をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

3-1.食物繊維を取る

便秘気味の方は、食物繊維が不足しがちです。食物繊維は野菜や芋類・海藻類に多く含まれており、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。便秘解消には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を8:2の割合で摂取すると効果的です。不溶性食物繊維を多く含む豆腐と水溶性食物繊維を含むワカメのみそ汁などは手軽に作ることができますし、コンビニエンスストアなどでもインスタント商品が販売されています。

3-2.発酵食品を取る

発酵食品とは、納豆・味噌・キムチ・ヨーグルトなど、菌類の発酵作用を利用して作られた食品です。なかでも乳酸菌発酵の食品は、腸内環境を改善させて便秘解消に効果があります。便秘解消にはヨーグルトといわれるのは、ヨーグルトが乳酸菌発酵を利用して作られた食品だからです。日本の伝統食であるぬか漬けも乳酸菌発酵の食品ですので、積極的に食べましょう。

3-3.白湯をゆっくりと飲む

適量な水分は便秘解消に効果的です。朝一番に取る水分では、白湯がよいでしょう。内臓が温められてぜん動運動が活発になります。量はマグカップ一杯が目安です。これならば、胃に負担もかかりません。人肌よりも少し熱い50度前後のお湯を飲みましょう。同じ温かい飲み物でも、コーヒーや紅茶は利尿作用があるため、取った水分の大部分が尿として排出されてしまうので注意してください。

3-4.適度な運動やマッサージをする

腹筋は腸のぜん動運動を促進させ、腸を支えてポッコリおなかになるのを防ぎます。腹筋を鍛える運動というと仰向けに寝て上半身を起こす運動がイメージされますが、ウォーキングでも腹筋は鍛えることが可能です。運動をする時間がないという方は、通勤途中や休憩中に意識して階段の上り下りをしてみてください。都会ならば、一駅手前で下車して一駅分歩くのもおすすめです。

また、便が出そうで出ないときは、おへその下に手のひらをあてて、「の」の字を書くようにおなか全体をマッサージしてみてください。腸のぜん動運動が手助けされます。

3-5.空腹で寝る

寝る前に食事をしてお腹がいっぱいの状態で寝ると、胃腸は休む暇がありません。寝る2時間前には食事を終えて、空腹の状態で眠るように心がけましょう。すると、朝食を食べるとぜん動運動がより活発になり、便が出やすくなります。空腹で寝るのと一緒に、朝決まった時間にトイレに入る習慣をつけるとなお良いでしょう。

4.まとめ

いかがでしたか? 今回は、塩水洗浄の問題点と健康的に便秘を解消する方法をご紹介しました。塩水洗浄で便秘が治ったという声もありますが、健康への悪影響が指摘されていることも事実です。体のことを考えれば、強制的に排便を促す方法よりも、根本から便秘を解消する方法を考えたほうが賢明でしょう。

※本記事は2016年2月に公開した記事を2017年2月に再編集したものです。