
硬便(固い便)の原因は? 正常に戻す方法や放置の危険性を徹底解説!
2015/05/27
2023/01/24
監修: 快適ヘルシーライフ編集部
便秘が続くと、ウサギのフンのようなコロコロとした硬い便が出ることはありませんか?
このような便を「硬便(コウベン)」といいます。硬便はひどいものになると、石のように固くなって排出に痛みを伴うこともあるのです。
硬便になる原因はなんでしょうか? そこで、今回は便が硬くなってしまう原因や対処法をご紹介します。
実は便秘解消のために行っていたことが、硬便の原因になることもあるのです。便が硬くなってつらいという方や硬便を柔らかくする方法が知りたいという方は、ぜひこの記事を読んでみてください。
1.硬便の原因は?
まず始めに、便が硬くなる原因をご紹介しましょう。便秘の原因と共通していることも多いのです。
1-1.水分不足
水分の少ない食事を取っていると、便が硬くなりやすいです。「食事のときに水やお茶を飲んでいる」という方もいるでしょう。しかし、水やお茶はほとんどが尿になってしまうので、腸内に届きにくいです。
食事と一緒に取る水分は、スープやみそ汁がおすすめ。水よりも濃度があるため固形物と一緒に腸に届きやすいです。
1-2.不溶性食物繊維の取りすぎ
食物繊維は便秘解消効果のある代表的なものです。しかし、食物繊維には「不溶性」と「水溶性」の2種類があることはあまり知られていません。
不溶性食物繊維は、野菜類やいも類に多く含まれています。さつまいもやごぼうに含まれている食物繊維は不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維、腸の中で水分を吸収してふくらむ性質がありますが、このときに便の中の水分も一緒に吸収してしまいます。
つまり、不溶性食物繊維を食べすぎると便が硬くなりやすいのです。これを防ぐには、こんにゃくや海藻、果物に含まれている水溶性食物繊維を一緒に取りましょう。
理想は不溶性食物繊維7に対して、水溶性食物繊維が3の割合で摂取することです。
1-3.腸の運動が弱まっているため
腸は、自分で動いて便を体外へ排出しようとします。この運動を「ぜん動運動」というのですが、これが弱まると便が腸内に長くとどまってしまうのです。
便が体内に長くとどまると、水分が腸壁から吸収されて便が硬くなります。ぜん動運動が弱まる原因は主にふたつ。
ひとつは、腸内に悪玉菌が増えてしまったため。そして、もうひとつが、運動不足で腹筋が弱まったためです。
特に、腹筋が弱まると腸全体が下にさがって運動能力が落ちます。つまり、腸の動きが鈍くなるほど便が硬く出にくくなって、便秘にもなりやすくなるのです。
2.硬便を解消する方法は?
では、硬便を解消するにはどうしたらよいのでしょうか? この項では、その一例をご紹介します。
2-1.努めて水分を摂取する
食事と一緒にスープやみそ汁などを飲むと、水分で便が硬くなりにくくなります。また、栄養補助食品や菓子パンをお茶などで流しこむような食事はできるだけ避けましょう。
忙しいときは食事も慌ただしくなりがちですが、一食くらいはゆっくり落ち着いて食べてください。
2-2.水溶性食物繊維を取る
水溶性食物繊維は腸内の余分な水分を取りこんで便と混じりあうため、便が柔らかくなります。
水溶性食物繊維は、海藻やこんにゃく、果物に多く含まれているのです。ですから、野菜とこんにゃくを一緒に食べたりおやつ代わりに果物を食べたりすると、便が硬くなりにくいでしょう。
2-3.腸内に善玉菌を増やす
ビフィズス菌に代表される善玉菌は、腸のぜん動運動を活発にする働きがあります。ですから、ヨーグルトなどのビフィズス菌がたくさん含まれている食品を食べれば、腸内に善玉菌が増えるでしょう。
また、オリゴ糖は善玉菌のエサになります。そこで、砂糖代わりにオリゴ糖を使っても効果があるでしょう。
2-4.運動をする
腹筋を鍛えても、腸のぜん動運動は活発になります。ただ歩くだけでも腹筋は鍛えられますから、運動不足の人は歩くことから始めましょう。下腹に力を入れて姿勢よく歩くように心がけると、なお効果的です。
また、運動をすればその刺激で腸が動き出すこともあります。便秘のときは白湯(さゆ)をコップ一杯飲んで、ウォーキングをしてみましょう。便秘が解消しやすくなります。
2-5.便を柔らかくする効果のある便秘薬を使う
硬便が続き出にくくなっている場合は、便を柔らかくする効果のある便秘薬を使いましょう。すでに硬くなっている便は、食物繊維などを食べても柔らかくなりません。
また、無理に出そうとすれば肛門(こうもん)が傷つく場合もあるでしょう。便秘薬は毎日大量に飲まなければ、習慣化することもありません。苦しいときは使ってください。
3.硬便が直腸付近に詰まってしまったら?
硬便が直腸付近で詰まってしまうと、がんばっても出ない場合があります。このような場合はどうしたらよいのでしょうか? 最後に、硬便がつまった場合の対処法をご紹介します。
3-1.ウォシュレットを使ってみる
ウォッシュレットで肛門を刺激すると、括約筋が緩んで便が出やすくなります。少し強めの水圧で、肛門に直接当てるのがポイント。
何度かくりかえしていると括約筋が緩んで便が出ることもあります。ウォシュレットがない場合は、シャワーで代用しましょう。この場合は、不意に便意がくることもあるので注意してください。
3-2.浣腸を使ってみる
浣腸は、肛門から注入するタイプの便秘薬です。液体ですので硬い便を柔らかくする効果もあります。
直腸あたりに硬便がつまっている感覚がある場合は、使ってみてください。ただし、乱用すると健康に影響が出ます。「がんばったけれどどうしても出ない」というときだけに使用してください。
3-3.病院へ行く
便秘もあまり続けば健康に影響が出ます。実際に硬便がつまり、腸が破裂して亡くなった例もあるのです。
ですから、「どんな方法を使っても便が出ない」という場合は、病院を受診してください。
特に、硬便が入り口につまっていると激しい腹痛が起こるケースもあります。それでも、がまんしていると腸が破ける可能性もあるのです。
恥ずかしいとは思いますが、命には代えられません。実際に、このようなケースで病院を受診する方は多いのです。
無事に便が出たら、ここまで症状を悪化させないように食生活などに気を配りましょう。
また、便が出ない原因が病気の場合もありますので、何の心当たりもないのに不意に便が硬くなってしまったという場合も病院を受診してください。
4.おわりに
今回は、硬便になる原因と対処法についてご紹介しました。
まとめると
- 水分不足だと硬便になりやすい。
- 不溶性食物繊維を取りすぎても硬便になりやすい。
- 運動不足や腸内に悪玉菌が増えても硬便になりやすい。
- 硬便を予防するには便秘解消と同じ対処の仕方が効果的。
- どうしても便が出ない場合は病院を受診しよう。
ということです。
硬便が重症化すると、コンクリート並みの硬さになってしまう場合もあるといわれています。そこまでになってしまうケースはまれですが、排便した後トイレットペーパーに血がついていたり痛みがあったりする方は多いでしょう。
硬便を放置しておくと、痔になりやすいです。痔も最悪の場合は手術が必要になる怖い病気。つまり、硬便を放っておいて良いことはひとつもありません。できるだけ早く対処してください。便秘薬に頼ってでも解消した方がよいのです。