
膝に打つヒアルロン酸注射の効果は? まずはメリット・デメリットを知ろう!
2016/01/16
2018/02/07
監修: 光伸メディカルクリニック院長 中村 光伸
膝の痛みでお悩みですか? 膝痛が長く続けば続くほど、日常に支障が出てしまいます。日によっては歩けないほどの痛みで悩むケースもあるでしょう。できるだけ早めに膝傷を治さなければなりません。今、膝の痛みを改善する方法として注目されているのがヒアルロン酸注射です。しかし、話題になっているからといって、安易に手を出すと大変なことになるかもしれません。
そこでこの記事では、ヒアルロン酸注射の効果や副作用、メリット・デメリット、料金や回数・頻度など一緒に見ていきましょう。
1.ヒアルロン酸注射の効果
膝痛を治すために“ヒアルロン酸注射”はさまざまなクリニックや病院で使用されています。しかし、本当にヒアルロン酸注射の効果はあるのでしょうか? これから、ヒアルロン酸注射の効果や特徴について詳しく説明します。
1-1.加齢とともに減るヒアルロン酸
「ヒアルロン酸注射」は、ヒアルロン酸が入っている液を注射で体内に入れるものです。化粧品やサプリメントとしても注目度が高い“ヒアルロン酸”は私たちの体に存在しています。
特に、皮膚や目、関節液に多く入っています。赤ちゃんのお肌がぴちぴちで潤っているのはヒアルロン酸のおかげだと言われています。ヒアルロン酸が体内にたくさんあるからこそ、常に潤っているのです。しかし、ヒアルロン酸は加齢とともに減ってしまいます。関節の動きをスムーズにするため、関節液としてヒアルロン酸は必要です。ヒアルロン酸の量が減ると、関節の動きが悪くなります。年齢を重ねるたびに減るものなので膝痛は中高年から始まるケースがほとんどです。そのため、階段の上り下りや激しい運動をするときなど痛みが出てくることがあります。
1-2.関節の動きがスムーズになる
注射によって直接ヒアルロン酸を注入するのが「ヒアルロン酸注射」です。関節の動きが悪くなっている部分に、潤滑作用のあるヒアルロン酸を増やすことができます。ヒアルロン酸が増えると違和感を持っていた関節の動きがスムーズになります。ヒアルロン酸注射の効果は、主に関節の接点部にある軟骨の摩耗を抑え、動きをよくする点です。
摩耗(まもう)は関節に大きなダメージを負ってしまうので注意しなければなりません。急に治るとは言えませんが、何度か注射を打つことで十分なヒアルロン酸の量が維持できます。
1-3.膝痛や炎症を抑える
ヒアルロン酸注射の効果は関節の動きをスムーズにするだけではありません。炎症を抑えることもできます。膝の痛みは関節に炎症が起きている証拠であり、まずは炎症を抑えなければなりません。ヒアルロン酸注射をすることで炎症がやわらぎ、自然と膝の痛みもなくなります。
しかし、気をつけてほしいのは「痛み止め」ではないことです。膝痛をやわらげる効果から痛み止めと勘違いする人は多いでしょう。確かに膝痛はやわらぎますが、痛み止めではないので注意してください。関節の動きをスムーズにするため、骨の間にあるクッション機能を保護するのです。クッション機能が保護すれば、加わる衝撃も吸収できます。
2.ヒアルロン酸のメリット・デメリット
2-1.ヒアルロン酸注射のメリットは?
ヒアルロン酸注射にはいくつかのメリットがあります。大きなメリットとしては、「外来で短時間にできる」点です。ヒアルロン酸注射は関節内注射のため、外的ダメージが非常に低いのもメリットの1つです。ヒアルロン酸のメリットはとても大きいですが、デメリットもあるので注意してください。
2-2.ヒアルロン酸注射のデメリットは?
ヒアルロン酸注射を打つ場合、メリットだけでなくデメリットもきちんと把握する必要があります。デメリットを把握しておかなければトラブルになるので注意してください。ヒアルロン酸注射はアレルギー症状がないと言われていますが、実際に症状が出たケースもあります。膝痛の状態によっては注射の針や針孔から細菌感染する可能性が極わずかですがあります。
3.ヒアルロン酸注射の料金・必要頻度
3-1.ヒアルロン酸注射の相場はおよそ一回2000円(国民保健10%負担ならば200円)
基本的に、ヒアルロン酸注射は1回で膝痛が治るわけではありません。回数を重ねなければ効果が出てこないでしょう。そこで、気になるのがヒアルロン酸注射の「料金」です。何度も注射しなければならないのなら、ある程度費用をためておく必要があります。ヒアルロン酸注射もいくつか種類があるため、病院やクリニックによって料金は多少変わります。また、ヒアルロン酸注射を打つ医師の技術も大切な要素になります。
3-2.長く打ち続ける必要がある
ヒアルロン酸注射は短期間で終わるものではありません。長く打ち続けることでヒアルロン酸の量を体内に維持できます。体内に十分な量が維持できるとヒアルロン酸注射の効果が出てくるのです。では、ヒアルロン酸注射の頻度は何回になるのでしょうか。頻度は、1週間に1度が普通です。担当医師の判断で、回数をコントロールし2週間~4週間に1回のペースでヒアルロン酸注射を打つこともあります。症状が治ったからと言って安心はできません。膝痛を完治するには食生活や運動など、日常生活を改善する必要があります。特に、運動は関節の動きをスムーズにするため大切です。
4.まとめ
ヒアルロン酸注射の効果やメリット・デメリット、料金・必要頻度について説明しましたが、いかがでしたでしょうか? ヒアルロン酸注射は、膝痛を改善する治療の1つになっています。しかし、ヒアルロン酸注射にはデメリットがあるので注意しなければなりません。技術を持っていて信用できる病院・クリニックを選びましょう。失敗しないためにもいくつかの病院・クリニックを比較することが大切です。

監修者
中村 光伸
光伸メディカルクリニック(東京 新宿)院長
医学博士
日本整形外科学会専門医
日本整形外科認定スポーツ医
日本整形外科認定リウマチ医
日本体育協会公認スポーツドクター
日本抗加齢学会認定専門医
日本胎盤臨床医学会認定専門医
日本美容皮膚科学会
日本レーザー治療学会
東京生まれ。北里大学医学部卒業、北里大学整形外科入局。
学位習得後、フンボルト大学外傷再建外科学(ドイツ)・チャンガン大学形成外科美容外科(台湾)へ留学。
Jリーグヴァンフォーレ甲府チームドクター、山梨学院大学陸上競技部(駅伝)チームドクターを歴任。
北里大学整形外科専任講師、北里大学救命救急整形外科部長、松倉クリニック&メディカルスパ等を経て、2011年12月、自身の理想とする医療を実現するため「光伸メディカルクリニック」を開業。 “リバースエイジング・健康寿命を延ばす”を命題に“見た目”の大切さと“動き目”の大切さを唱え、「整形外科」「美容外科」「美容皮膚科」「リハビリテーション科」を一つの科として診療している。
著書
「3か月で10歳若返る わたしはリバースエイジングドクター」(H304月1日発刊予定)
メディア掲載歴
『Domani』2018年3月号、『VoCE』2017年11月号、『厳選 クリニックガイド』、『VOGUE』2017年9月号、『VoCE』2017年4月号、『VoCE』2017年3月号、『ViVi』2016年8月号、『VoCE』2016年6月号、『InRed』2016年6月号、『VOGUE』2016年1月号、『DRESS』2016年2月号、『MAQUIA』2016年2月号、『VoCE』2015年2月号、『VOGUE』2015年1月号、『MyAge』2015年秋冬号、他多数