
便秘薬に使われる酸化マグネシウムの副作用は? 詳しく解説します。
2017/02/25
2017/03/07
監修: 快適ヘルシーライフ編集部
酸化マグネシウムは、便秘薬や胃炎の薬などの主成分として色々な薬剤に使われています。特に、便秘薬として使われてきた期間は長く、昭和20年代から酸化マグネシウムを主成分とした便秘薬が販売される続けているのです。また、副作用の少ない物質として子どもや高齢者の便秘にも、酸化マグネシウムを主成分とした便秘薬が処方され続けてきました。しかし現在、酸化マグネシウムにも副作用があることが分かってきています。
そこで、今回は便秘薬としての酸化マグネシウムの働きとその副作用についてご紹介しましょう。
- 酸化マグネシウムの基礎知識
- 酸化マグネシウムを用いた便秘薬の特徴
- 酸化マグネシウムの副作用と使用する際の注意点
- 薬になるべく頼らない便秘解消方法と酸化マグネシウムを含まない便秘薬の紹介
- 酸化マグネシウムを利用した便秘薬に関するよくある質問
これを読めば、便秘薬として酸化マグネシウムを取る場合の注意点がよく分かります。便秘気味で便秘薬をよく使用するという方も、ぜひ読んでみてくださいね。
1.酸化マグネシウムの基礎知識
はじめに、酸化マグネシウムとはどのような物質かということをご紹介します。なぜ、便秘に効果的なのでしょうか?
1-1.酸化マグネシウムとは
酸化マグネシウムとは、文字どおり酸化したマグネシウムのことです。乳白色の固体で粉末にして使用します。カマやカマグという別名もあるのです。
酸化マグネシウムが体内へ入ると腸管で水分の吸収が高まる効果があります。その結果、硬い便が柔らかくなって排出されやすくなるのです。そのため、昔から便秘の薬として使用されてきました。
この他、胃酸を中和する働きもあるので、胃薬としても使用されます。また、マグネシウムはゴマ・アーモンドといったナッツ類やひじきやワカメといった海藻類に多く含まれており、血圧の調整や新機能の維持には欠かせない栄養素です。
1-2.酸化マグネシウムのメリット
酸化マグネシウムは安価で副作用が少なく、依存性もほとんどありません。ですから、子どもや高齢者・妊婦にも服用できる安全な便秘薬として広く使われています。病院で便秘を訴えると、初めに処方される便秘薬は酸化マグネシウムを主成分としたものがほとんどです。
1-3.酸化マグネシウムの便秘解消以外の効果
酸化マグネシウムは、前述したように胃酸を中和する効果もあります。そのため、胃酸過多が原因の胃炎を発症した際の治療薬としても用いられるのです。この他、尿道結石を予防する効果も期待できます。
2.酸化マグネシウムを用いた便秘薬の特徴
酸化マグネシウムを用いた便秘薬は、便に水を含ませることで腸のぜん動運動を促します。ですから、腹痛が起こりにくく自然な排便をすることが可能です。前述したように、腸管を刺激する便秘薬と違い、依存性もないので何度服用しても副作用が出にくいでしょう。そのため、子どもから高齢者まで使用ができます。
酸化マグネシウムを主成分にした便秘薬には、粉末・錠剤・液状など種類が豊富です。そのため、年齢に合わせて飲みやすい薬を選択することもできます。また、酸化マグネシウム自体が安価ですので、薬もお手ごろ価格で販売されており、経済的な負担が軽いのも人気の理由です。
3.酸化マグネシウムの副作用と使用する際の注意点
酸化マグネシウムは副作用が少ない薬ですが、健康状態によっては副作用が出ることもあります。また、便秘薬は使用する際には注意点があるのです。この項では、どのような副作用があるかということや使用する際の注意点をご紹介しましょう。
3-1.酸化マグネシウムの副作用
酸化マグネシウムは、使うたびにわずかではありますが腸管から体内へ吸収されていきます。その量は微量ですので、健康な方ならば何の問題もありません。ただし、腎臓の機能が低下している方や腎臓病の方が酸化マグネシウムを摂取し続けると、高マグネシウム血症になる恐れがあります。高マグネシウム血症になると喉の渇きや眠気・筋力の低下・嘔吐感・呼吸機能の低下などの症状が出て、最悪の場合心臓発作で死に至ることもあるのです。
1回の服用でここまでの症状が出ることはほとんどありませんが、酸化マグネシウムが主成分の便秘薬を長期間にわたり使用し続けている方は注意しましょう。腎臓病の方や腎臓の働きが低下している高齢者などは、必ず使用前に医師に相談してください。
また、努めてカルシウムを多めに摂取している方が酸化マグネシウムを長期にわたって服用し続けていると、高カルシウム血症を引き起こすことがあります。特に、子どもや高齢者は成長のためや骨粗しょう症を防ぐためにカルシウムを多めに摂取している方が多いことでしょう。便秘薬を使っているときは、カルシウムの過剰摂取を控えてください。牛乳は1日200ml以内に抑えましょう。
3-2.過剰摂取にも注意する
酸化マグネシウムが主成分の便秘薬は、腸管を刺激しない分、効き目が穏やかです。そのため、効きにくいという方もいるでしょう。だからといって過剰に便秘薬を飲めば、脱水症状の危険があります。特に、子どもや高齢者は要注意です。便秘薬は必ず用法や用量を守って使用してください。
3-3.こんな症状が出たらすぐに病院へ
- 便秘薬を飲んだ後は耐えがたい眠気起こる
- 便意と共に吐き気が起こる
- 意識がもうろうとすることがある
- 下痢が出た後で体がふらつく
- 立ちくらみが頻繁に起こるようになった
このような場合は、すぐに病院を受診してください。高マグネシウム血症や高カルシウム血症以外にも、病気を発症している可能性があります。
4.薬になるべく頼らない便秘解消方法と酸化マグネシウムを含まない便秘薬の紹介
この項では、薬になるべく頼らない便秘解消の方法と酸化マグネシウムを含まない便秘薬を紹介します。どのような便秘薬があるのでしょうか?
4-1.食生活や生活習慣を見直す
便秘になりやすい方は食事の量が極端に少量であったり、水分の摂取量が少なかったりする傾向にあります。また、便秘には食物繊維がよいことは知られていますが、腸内環境が悪化していればその効果は今ひとつです。そこで、野菜や果物・乳製品・海藻など食物繊維や乳酸菌・オリゴ糖などをたくさん含んだ食品を食べましょう。
外食が中心の方は、和定食を中心におひたし・海藻サラダ・ヨーグルト・みそ汁などを加えるとよいでしょう。ダイエットをしている方でも、海藻やキノコならば低カロリーです。
また、睡眠を十分に取り、毎朝決まった時間にトイレへ入りましょう。体内時計のリズムが整って「排便の時間」がしっかりと記憶されます。
4-2.内臓を冷やさない
冷たいものを食べるとお腹を壊すイメージがありますが、お腹を冷やすと腸の働きも鈍くなります。便秘解消のためには適度な水分が大切ですが、冷たい飲みものはダメです。常温や温かい飲みものを飲みましょう。子どもの場合はホットミルクもよいでしょう。飲み過ぎに注意して与えてください。また、夏でも冷房が効いた場所に長時間いる場合は、腹巻きをするなどしてお腹を温めましょう。今は服の上からならば目立たない商品がたくさん出ています。
4-3.マッサージや運動をする
マッサージや運動には便秘解消と共にストレス解消の効果も期待できます。ストレスも便秘を悪化させる原因ですので、ストレスの解消は便秘に効果的です。景色のきれいなところを散歩するだけでも、腸を支える腹筋は鍛えられます。また、おへその下に手のひらをあててのの字を描くようにマッサージをすると、腸の動きを助けられるのです。運動することが難しい高齢者や、子どもの便秘にはマッサージをしてあげるとよいでしょう。
4-4.酸化マグネシウムを使わない便秘薬とは?
酸化マグネシウムを使わすに、長い間飲み続けられる便秘薬といえば、漢方薬があります。漢方薬は草木の葉や根などをそのまま利用した生薬から作り出した薬のことで、効き目が穏やかな分、長期間飲み続けられるのです。また、便秘を解消するだけでなく胃腸の調子を整える効果もあります。
複方熊胆円(ふくほうゆうたんえん)は、熊の胆のうを原料とした便秘解消の効果がある漢方薬です。同時に胆汁分泌を促す効果もあるので、胃腸が弱っている方にも効果が期待できます。
ただし、漢方薬にも副作用があり、健康状態によっては服用できない薬もあるのです。ですから、持病がある方や高齢者は必ず医師と相談して服用を開始しましょう。
5.酸化マグネシウムを利用した便秘薬に関するよくある質問
Q.どのくらいの期間飲み続けると、副作用が出やすくなるのでしょうか?
A.人によって異なります。ですから、便秘薬を使わずに便が出るようになることが大切です。
Q.市販の酸化マグネシウムが入った便秘薬は使わない方がよいのでしょうか?
A.便秘が長期化した場合は、まず便を出すことが大切です。用法・用量を守って使用すれば健康な方の場合はほぼ心配いりません。
Q.漢方薬の便秘薬は苦そうで、苦手意識があります。
A.今は錠剤の漢方薬も多く、味を気にせずに飲むことができますから大丈夫です。
Q.漢方薬は高価というイメージがありますが、飲み続けられるのでしょうか?
A.便秘解消の効果がある漢方薬ならば、通常の薬とほぼ同じ値段です。
Q.子どもでも漢方薬の服用はできますか?
A.錠剤が飲めるのならば、大丈夫でしょう。
6.おわりに
いかがでしたか? 今回は酸化マグネシウムの副作用を中心に、便秘解消の方法をご紹介しました。副作用が少ない薬でも、長期間服用すると体に悪影響が出やすくなります。薬に頼らずに便秘を解消できる方法を見つけられるように努力していきましょう。また、生活習慣を全く変えていないのにいきなり便秘になってしまったという場合は、腸内に腫瘍などができている可能性があります。便の色が黒かったり便が極端に細くなったりした場合は、消化器科を受診してください。