
膝痛改善におすすめのストレッチは? やり方・注意点を徹底解説!
2017/03/20
2020/10/16
監修: 光伸メディカルクリニック院長 中村 光伸
膝は、年を重ねたり運動をやり過ぎたりすることで大きな影響が出ます。今回は、「膝痛で階段がつらい」「膝痛を予防したい」と悩んでいる人のために、膝痛解消に効果的なストレッチをご紹介しましょう。ストレッチなら誰でも簡単にできるだけでなく、お金も必要ありませんからぜひ試してみてください。
この記事を読むことで、膝のストレッチの正しい方法を理解できます。ストレッチを行うことによって膝痛の悩みを解消できることでしょう。まずは、記事を読んでやり方や注意事項など、必要なことを学んでください。膝痛の悩みを解消したい方は必見です。
1.膝のストレッチについて
最初に、膝のストレッチについての基本を学びます。ストレッチの目的や必要性を理解しましょう。
1-1.ストレッチとは?
ストレッチとは、筋肉を柔らかくして、関節の動く範囲を広げるための動作のことです。ストレッチをすることで、心身の緊張をほぐす効果もあります。十分なストレッチを行った体は、ケガや故障を引き起こすリスクが低くなるものです。スポーツ選手が念入りにストレッチを行うのも、自分の実力を最大限に発揮するためだけでなく、故障を避けるためでもあります。
1-2.動的ストレッチと静的ストレッチについて
ストレッチは、大きく分けて動的ストレッチと静的ストレッチに分けることができます。
- 動的ストレッチ:筋肉をいろいろな方向に伸ばしたりあらゆる方法で関節を動かしたりするストレッチ
- 静的ストレッチ:筋肉の特定の方向にゆっくりと伸ばすストレッチ
1-3.膝のストレッチの目的や必要性
膝のストレッチは、膝の柔軟性を高め、可動域を広くすることで膝関節にかかる負担を軽減してくれる目的で行います。立っているとき、膝には体重がかかった状態です。何もしない状態であっても、立っているだけで膝には大きな負担になっていることを理解しましょう。ましてや、歩く・走る・運動するとなると想像以上の負荷がかかるのです。こうしたことから、ストレッチの必要性は高いと言えます。
1-4.膝の柔軟性と可動域の重要性
膝の柔軟性を高め、可動域を広げておくことはとても重要です。膝の柔軟性が高まれば、肉離れなどのリスクが減ります。関節の稼動域が広がることで、膝への負担が軽くなるのです。思わぬ不調やケガを防ぐためにも、普段から膝のストレッチで膝を強化しておきましょう。
2.膝のストレッチの注意点とコツ
膝のストレッチの注意点とコツについて解説します。間違ったやり方で逆効果とならないように、気を付けましょう。
2-1.ストレッチを行うタイミングについて
ストレッチは主に以下のタイミングで行うといいでしょう。
- 運動の前後:運動中のケガや運動後の不調を防止する
- 入浴後:体が温まって柔軟性が増しているのでケガをしにくい
- 寝る前:1日の疲れをほぐし眠りやすくなる
2-2.ストレッチは何秒間すればいい?
ストレッチの種類にもよります。動的ストレッチの場合は数秒程度と短めです。しかし、静的ストレッチの場合は、数十秒必要なこともあります。ストレッチの種類や方法を守って行いましょう。自己判断で短くしたり長くしたりすると効果が期待できないばかりか、かえって故障の原因となります。
2-3.反動は付けてもいい?
ストレッチを行うときに、反動は付けないでください。反動を付けると、余分な力がかかってしまい、筋肉を傷めてしまうことがあります。効果が得られないばかりでなく、筋肉を傷めてしまうこともあるでしょう。ストレッチは、反動を付けずにゆっくりと行うことを心がけてください。
2-4.そのほかの注意点やコツについて
ストレッチは体にいいものであっても、やり過ぎは禁物です。また、運動前のストレッチを軽視する人や省く人がいます。しかし、運動前のストレッチこそ忘れずに行ってください。膝の故障を防ぐためにも、重要です。ストレッチ中に膝の痛みを感じたときは、中止しましょう。無理に続けても痛みが悪化するだけです。
3.膝のストレッチ:こんな人はやってはいけない!
膝のストレッチをやってはいけない人や症状があります。残念ながら逆効果になってしまうケースについて学びましょう。
3-1.膝のストレッチをやってはいけない人とは
以下の人は膝のストレッチをやってはいけません。痛みが増すなど、症状が悪化する可能性が高くなります。
- 変形性膝関節症の人
- 半月板・靭帯(じんたい)などに損傷がある人
- 体調不良がある人
3-2.膝のストレッチをやってはいけない症状
以下のような症状が出ているときは、膝のストレッチをやらないでください。
- 激しい痛みがある
- 普段とは違う痛みがある
- 膝を動かすと痛む
- ストレッチをやると違和感がある
ストレッチで膝の痛みを悪化させないように気を付けましょう。
4.膝関節のストレッチをしよう
膝関節のストレッチをしましょう。部位別に紹介するほか、寝ながらできるものやイスや壁を利用するものなど、簡単にできるものを解説します。
4-1.膝関節のストレッチを部位別に紹介
膝関節のストレッチを部位別に紹介しましょう。
4-1-1.膝の上側
膝の上側を効果的にストレッチする方法を紹介します。
- 机などに手をついて立つ
- 片方の足を後ろ側に曲げる
- 曲がった足を空いている手でつかみ、体に引き寄せる
- ゆっくりと戻す
- 反対側も行う
- 5回から10回程度繰り返す
4-1-2.膝の外側
膝の外側を効果的にストレッチするには、下記の方法がおすすめです。
- 床にマットなどを敷いて足を投げ出した状態で座る
- 両手を体の横に移動して床に着ける
- 片方の足を曲げる
- 曲げた足と反対側の手で外側から内側に膝を倒すように押す
- ゆっくりと戻す
- 反対側も行う
- 5回から10回程度繰り返す
4-1-3.膝の裏側
前屈がしづらい人は、膝の裏側の柔軟性が足りません。以下のストレッチをしてほぐしていきましょう。
- 床に足を投げ出した状態で座る
- フェイスタオルを足先にかけ両手でゆっくりと引っ張る
- 膝の裏が伸びていることを確認して10秒キープする
- 引っ張るのをゆっくりとやめる
- 5回から10回程度繰り返す
4-1-4.膝の内側
膝の内側もストレッチで強化することが可能です。
- 両足を大きく開いて立つ
- 手を腰に当ててゆっくりと腰を下ろす
- キツイと思ったところで止めて10秒キープする
- ゆっくりと戻す
- 5回から10回程度繰り返す
4-2.寝ながらできる方法
膝関節のストレッチは、寝ながらでも可能です。体が最もリラックスした状態でできるので、ぜひ寝る前にでもやってみてください。
- ベッドや布団の上にあお向けに寝る
- 片方の膝だけ立てる
- 伸びている方の足をゆっくりと上げて10秒キープする
- ゆっくりと戻す
- 反対側の足も同様に行う
- 5回から10回程度繰り返す
4-3.イスや壁を使用する方法
イスや壁を使用すると、楽にストレッチができます。
4-3-1.イスを使った膝ストレッチ
イスを使ったストレッチのやり方は、以下を参考にしてください。膝を伸ばすときや戻すときは反動を付けないで行いましょう。
- 低めのイスに座る
- 片足を前に軽く伸ばす
- 伸ばした側の膝の上に両手をおき、押しながらゆっくりと膝を伸ばす
- 20秒から30秒キープする
- ゆっくり戻す
- 反対の足も同様にストレッチする
- 5回から10回程度繰り返す
4-3-2.壁を使った膝のストレッチ
壁を使っても、簡単にストレッチができます。
- 壁に向かって立つ(壁から40センチぐらい離れて立つ)
- 片方の足を前に出して両手で壁を押す
- 10秒キープする
- ゆっくり戻す
- 反対の足も同様にストレッチする
- 5回から10回程度繰り返す
4-4.膝の痛みがあるときでもできる方法
膝の痛みがあるときは、できるだけ刺激を与えない方が賢明です。しかし、膝の痛みがあるときでもできる方法を行うことで、苦痛をやわらげることもできます。たとえば、入浴のときに湯船の中でストレッチを行う方法がおすすめです。
- 体を洗ってから湯船につかり十分に温まる
- 湯船の中で立つ
- ゆっくりと膝を曲げていく
- 痛みを感じない程度まで曲げたら10秒キープする
- 両手で湯船の縁(ふち)をつかみゆっくりと膝を伸ばす
- 5回から10回程度繰り返す
なお、湯温はぬるめの設定で行ってください。また、途中でのぼせた場合は湯船から上がって水分補給をし、休息を取りましょう。
5.膝のストレッチに関するよくある質問
最後に、膝のストレッチに関するよくある質問に回答します。それぞれの内容を確認して、役立ててください。
Q.膝のストレッチだけで痛みを完全に治すことはできますか?
A.膝のストレッチは、あくまでも膝周辺に負担をかけないようにするためのものです。そのため、痛みを完全に治すことはできません。膝の痛みの原因を知って取り除くことをしながら、補助的にストレッチを活用しましょう。
Q.膝のストレッチをやったら悪化した気がするのですが?
A.まずは、正しい方法でストレッチをしているか確認してください。効果が高い方法であっても、間違ったやり方で行っているのでは逆効果です。また、やり過ぎてはいないでしょうか。膝の痛みを取るためのストレッチであっても、過度に行ってはいけません。いずれにしても、悪化したと感じたときはストレッチを止めて受診してください。
Q.膝のストレッチと同時に行うと良い方法は?
A.たとえば、温浴療法をおすすめします。温浴療法とは、膝周辺をお湯で温める方法です。膝周辺の血行を促して筋肉疲労を取り、痛みをやわらげてくれることでしょう。膝の痛みがあるときにも効果的です。専門施設に行かなくても、自宅でバスタブを利用して行うこともできますよ。
Q.膝や関節が楽になるというサプリメントを併用してもいいですか?
A.膝の痛みで悩んでいる人は、関節周辺の筋肉がこわばっていたり関節の柔軟性が失われていたりします。サプリメントの中には、関節の動きをサポートする成分が含まれているものもあるので、試してみるといいでしょう。たとえば、当キョクトウ株式会社でも「楽らく歩」というサプリメントを販売しています。
「楽らく歩」の詳細については、下記ページをご覧ください。
http://www.my99box.com/膝痛でお悩みの方へ
Q.膝の痛みが怖いのならストレッチもしない方がいいのでは?
A.確かに、強い痛みがあるときに無理をしてストレッチをする必要はありません。しかし、膝が痛みやすい人は、何らかの原因で膝に大きな負担がかかっているものです。普段からストレッチを行って膝周辺の筋肉の柔軟性を高め、関節の稼動域を広げることで痛みが出にくくなります。様子を見ながら無理をしない程度にストレッチをやってみてください。
まとめ
膝に痛みがあると、行動するのも戸惑ってしまい家の中に引きこもりがちになるものです。しかし、ストレッチを取り入れることで、膝周辺の筋肉の柔軟性を高め、膝関節の稼動域を広げることができれば痛みを出にくくすることができます。正しい方法でストレッチを行えば、痛みに悩むことなくよりアクティブな生活を送ることが可能です。まずは、記事を何度も読み返してストレッチの理論や方法をしっかり学び、実行してみてください。

監修者
中村 光伸
光伸メディカルクリニック(東京 新宿)院長
医学博士
日本整形外科学会専門医
日本整形外科認定スポーツ医
日本整形外科認定リウマチ医
日本体育協会公認スポーツドクター
日本抗加齢学会認定専門医
日本胎盤臨床医学会認定専門医
日本美容皮膚科学会
日本レーザー治療学会
東京生まれ。北里大学医学部卒業、北里大学整形外科入局。
学位習得後、フンボルト大学外傷再建外科学(ドイツ)・チャンガン大学形成外科美容外科(台湾)へ留学。
Jリーグヴァンフォーレ甲府チームドクター、山梨学院大学陸上競技部(駅伝)チームドクターを歴任。
北里大学整形外科専任講師、北里大学救命救急整形外科部長、松倉クリニック&メディカルスパ等を経て、2011年12月、自身の理想とする医療を実現するため「光伸メディカルクリニック」を開業。 “リバースエイジング・健康寿命を延ばす”を命題に“見た目”の大切さと“動き目”の大切さを唱え、「整形外科」「美容外科」「美容皮膚科」「リハビリテーション科」を一つの科として診療している。
著書
「3か月で10歳若返る わたしはリバースエイジングドクター」(H304月1日発刊予定)
メディア掲載歴
『Domani』2018年3月号、『VoCE』2017年11月号、『厳選 クリニックガイド』、『VOGUE』2017年9月号、『VoCE』2017年4月号、『VoCE』2017年3月号、『ViVi』2016年8月号、『VoCE』2016年6月号、『InRed』2016年6月号、『VOGUE』2016年1月号、『DRESS』2016年2月号、『MAQUIA』2016年2月号、『VoCE』2015年2月号、『VOGUE』2015年1月号、『MyAge』2015年秋冬号、他多数