膝の痛みに効く湿布の貼り方は?選び方と注意点を解説
2015/09/24
2026/06/08
監修: 光伸メディカルクリニック院長 中村 光伸
膝が痛いとき、まず湿布を貼って様子を見ようと考える人は多いと思います。歩く、立ち上がる、階段を上るなど、膝は毎日の動作に関わる場所なので、痛みがあるだけで生活が不便になりますよね。
湿布は手軽に使える外用薬ですが、貼り方や使い方を間違えると、はがれやすくなったり、かぶれたり、痛みの原因を見逃したりすることがあります。
また、湿布で痛みが軽くなっても、膝の状態そのものが治ったとは限りません。
この記事では、膝の痛みに湿布を使うときの基本、冷湿布と温湿布の考え方、膝に貼るときのコツ、使用時の注意点、整形外科を受診したほうがよいサインを解説します。
- 湿布は膝痛にどう役立つのか
- 冷湿布と温湿布の違い
- パップ剤とテープ剤の違い
- 膝の表側に湿布を貼る方法
- 膝の裏側に湿布を貼る方法
- 湿布を使うときの注意点
- 湿布だけで様子を見ないほうがよい膝痛
- 膝痛と湿布でよくある質問
- まとめ
1.湿布は膝痛にどう役立つのか
湿布は、痛みや炎症をやわらげる成分を皮膚から吸収させる外用薬です。市販薬にも医療用にもさまざまな種類があり、膝、腰、肩、首、足首などの痛みに使われます。
膝痛に使われる湿布には、非ステロイド性抗炎症薬、いわゆるNSAIDsを含むものがあります。NSAIDs外用薬は、変形性膝関節症などの痛みに対して使われることがあります。
ただし、湿布は痛みをやわらげるための方法であり、軟骨のすり減り、半月板損傷、靭帯損傷、関節リウマチ、骨折などの原因を治すものではありません。
膝の痛みが続く場合は、湿布で一時的に楽になっても、原因を確認することが大切です。
2.冷湿布と温湿布の違い
湿布には、冷たく感じるものと、温かく感じるものがあります。どちらも「実際に深部まで冷やす・温める」というより、皮膚の感覚に働きかける面があります。
冷湿布が向いていることが多い場面
冷湿布は、貼ったときにひんやり感じるタイプです。メントールなどの成分で冷感を感じるものもあります。
膝をひねった、ぶつけた、運動後に痛みが出た、腫れや熱っぽさがあるなど、急に起きた痛みでは、まず冷やす対応が選ばれることがあります。
ただし、強い腫れや痛みがある場合は、湿布だけで済ませず整形外科を受診してください。
温湿布が合う場合もある
温湿布は、カプサイシンなどの成分により温かく感じるタイプです。慢性的なこわばりや冷えで痛みがつらい場合に、心地よく感じる人もいます。
一方で、膝が赤く腫れている、熱を持っている、急に痛みが出た場合に温めると、症状がつらく感じることがあります。
お風呂で温めると楽になる痛みでも、長く続く膝痛は自己判断で済ませないほうが安心です。
冷湿布か温湿布かで迷うときは、「腫れ・熱感・急な痛みがあるか」を確認し、不安があれば薬剤師や医師に相談しましょう。
3.パップ剤とテープ剤の違い
湿布には、パップ剤とテープ剤があります。膝に貼る場合は、動きやすさや肌への負担を考えて選びましょう。
パップ剤
パップ剤は、水分を多く含む厚めの湿布です。貼るとひんやり感じやすく、肌への刺激が比較的少ないものもあります。
一方で、厚みがあるため、膝のようによく動く場所でははがれやすいことがあります。膝に使う場合は、切れ込みを入れたり、サポーターで軽く押さえたりすると使いやすくなります。
テープ剤・プラスター剤
テープ剤は薄く、粘着力が強いタイプです。膝のように曲げ伸ばしする場所にも貼りやすい一方で、肌が弱い人はかぶれやすいことがあります。
はがすときは一気に引っ張らず、皮膚を押さえながらゆっくりはがしましょう。赤みやかゆみが出る場合は、同じ場所に貼り続けないことが大切です。
4.膝の表側に湿布を貼る方法
膝の表側に貼るときは、膝を曲げ伸ばししてもはがれにくいように工夫します。
貼る前の準備
- 汗や水分をタオルで拭き取る
- クリームや油分が付いている場合は落とす
- 傷、湿疹、かぶれがある場所には貼らない
- 説明書で貼る時間と回数を確認する
膝の表側への貼り方
- 椅子に座り、膝を軽く曲げます。
- 湿布を半分に折り、中央に小さな切れ込みを入れます。
- 切れ込みが膝のお皿のあたりに来るように位置を合わせます。
- 膝の丸みに沿わせながら、中央から外側へ空気を抜くように貼ります。
- 端が浮かないように、手のひらでやさしく押さえます。
切れ込みを入れると、膝を曲げたときのつっぱりが減り、はがれにくくなります。湿布を強く引っ張って伸ばしすぎると、皮膚への刺激になることがあるため注意しましょう。
5.膝の裏側に湿布を貼る方法
膝の裏側は、汗をかきやすく、皮膚がこすれやすい場所です。貼る時間や肌トラブルに注意しましょう。
膝の裏側への貼り方
- 椅子に座り、膝を軽く伸ばします。
- 湿布の左右に1〜2cmほど切れ込みを入れます。
- 膝裏のしわに湿布が強く重ならないように位置を合わせます。
- 中央から外側へ、しわを伸ばすように貼ります。
- 膝をゆっくり曲げ伸ばしして、つっぱりや違和感がないか確認します。
膝裏はかぶれやすい場所です。かゆみ、赤み、ヒリヒリ感が出た場合は、すぐにはがして様子を見ましょう。
今日からできることは、湿布を貼る前に皮膚を乾かし、膝の動きに合わせて切れ込みを入れることです。
6.湿布を使うときの注意点
湿布は手軽に使えますが、医薬品です。使う前に必ず説明書を確認しましょう。
長く貼り続けない
湿布を長時間貼り続けると、かぶれ、赤み、かゆみ、水ぶくれなどの皮膚トラブルが起こることがあります。
「長く貼ればよく効く」とは限りません。製品ごとに決められた使用時間や貼り替え回数を守りましょう。
同じ場所に貼り続けない
同じ場所に何日も貼り続けると、皮膚に負担がかかります。続けて使う場合は、少し場所をずらす、肌の状態を確認する、赤みがある日は休むなどの工夫をしてください。
入浴前後に注意する
温湿布を貼ったまま入浴したり、入浴直後に貼ったりすると、刺激を強く感じることがあります。入浴前には湿布をはがし、入浴後は皮膚が落ち着いて乾いてから貼りましょう。
傷や湿疹のある場所には貼らない
傷口、湿疹、かぶれ、虫刺され、化膿している場所には貼らないでください。皮膚症状が悪化することがあります。
光線過敏症に注意する
ケトプロフェンなど一部の外用薬では、貼った場所に紫外線が当たることで、強いかゆみ、赤み、腫れ、水ぶくれなどの光線過敏症が起こることがあります。
使用中だけでなく、使用後しばらくしてから症状が出ることもあります。ケトプロフェンを含む湿布を使った場合は、貼った場所を衣服やサポーターで覆い、紫外線に当てないようにしましょう。
使えない人・相談が必要な人もいる
湿布の成分によっては、ぜんそくを起こしたことがある人、妊娠中の人、子ども、持病がある人、ほかの薬を使っている人は注意が必要です。
市販薬を選ぶときは、薬剤師や登録販売者に相談し、処方薬を使っている場合は医師の指示に従いましょう。
湿布は「貼るだけだから安全」と考えず、成分・貼る時間・皮膚の状態を確認して使うことが大切です。
7.湿布だけで様子を見ないほうがよい膝痛
次のような膝の痛みがある場合は、湿布だけで様子を見続けず、整形外科を受診してください。
- 膝が大きく腫れている
- 膝に熱感がある
- 転倒やスポーツ後から強く痛む
- 膝が引っかかる、伸びきらない
- 歩くと膝が崩れる感じがする
- 安静にしていても痛い
- 痛みが数日たっても軽くならない
- 発熱を伴う
- 赤く腫れて強い痛みがある
- 湿布でかぶれや水ぶくれが出た
膝痛の原因によっては、運動、装具、内服薬、注射、リハビリ、手術など、湿布以外の治療が必要になることがあります。
痛みを我慢し続けるより、早めに原因を確認したほうが、次の対策を選びやすくなります。
8.膝痛と湿布でよくある質問
Q.膝が痛いときは冷湿布と温湿布のどちらがよいですか?
A.急な痛み、腫れ、熱感がある場合は冷やす対応が合うことがあります。慢性的なこわばりで温めると楽に感じる場合は温湿布が合うこともあります。ただし、痛みが続く場合や腫れがある場合は整形外科に相談してください。
Q.湿布は膝のどこに貼ればよいですか?
A.基本は痛みを感じる場所に貼ります。ただし、傷や湿疹がある場所、かぶれている場所には貼らないでください。膝の表や裏に貼る場合は、切れ込みを入れるとはがれにくくなります。
Q.湿布は何時間貼ればよいですか?
A.製品によって異なります。1日1回タイプ、1日2回タイプなどがあるため、必ず説明書や医師・薬剤師の指示を確認してください。長く貼り続けると、かぶれの原因になることがあります。
Q.痛みが消えたら湿布をやめてもいいですか?
A.市販薬の場合は、症状が軽くなれば無理に貼り続ける必要はありません。ただし、痛みを繰り返す、腫れがある、歩きにくい場合は、痛みが一時的に引いても整形外科で相談しましょう。
Q.湿布でかぶれたらどうすればいいですか?
A.すぐにはがして使用を中止してください。赤み、かゆみ、水ぶくれ、ただれがある場合は医療機関や薬剤師に相談しましょう。ケトプロフェンを含む湿布では、使用後も紫外線を避ける必要があります。
Q.サポーターの下に湿布を貼ってもいいですか?
A.軽く押さえる程度ならはがれ防止に役立つことがあります。ただし、強く締めすぎると皮膚刺激や血行不良につながることがあります。かゆみや痛みが増える場合は外してください。
9.まとめ
湿布は、膝の痛みを一時的にやわらげる方法のひとつです。膝の表側や裏側に貼るときは、皮膚を乾かし、膝の動きに合わせて切れ込みを入れると、はがれにくくなります。
冷湿布と温湿布は、痛みの状態によって合う場合が異なります。急な痛みや腫れ、熱感がある場合は、温めるよりも受診や冷却を考えることが大切です。慢性的な痛みでも、湿布だけで原因を判断することはできません。
また、湿布は医薬品です。貼る時間、回数、使用できる部位、光線過敏症、かぶれなどの注意点を確認して使いましょう。
膝の痛みが続く、腫れている、熱を持っている、歩きにくい、転倒後から痛い場合は、湿布だけで様子を見続けず整形外科に相談してください。
膝痛に湿布を使うときは、正しく貼ることと同じくらい、痛みの原因を見逃さないことが大切です。
出典
監修者
中村 光伸
光伸メディカルクリニック(東京 新宿)院長
医学博士
日本整形外科学会専門医
日本整形外科認定スポーツ医
日本整形外科認定リウマチ医
日本体育協会公認スポーツドクター
日本抗加齢学会認定専門医
日本胎盤臨床医学会認定専門医
日本美容皮膚科学会
日本レーザー治療学会
東京生まれ。北里大学医学部卒業、北里大学整形外科入局。
学位習得後、フンボルト大学外傷再建外科学(ドイツ)・チャンガン大学形成外科美容外科(台湾)へ留学。
Jリーグヴァンフォーレ甲府チームドクター、山梨学院大学陸上競技部(駅伝)チームドクターを歴任。
北里大学整形外科専任講師、北里大学救命救急整形外科部長、松倉クリニック&メディカルスパ等を経て、2011年12月、自身の理想とする医療を実現するため「光伸メディカルクリニック」を開業。 “リバースエイジング・健康寿命を延ばす”を命題に“見た目”の大切さと“動き目”の大切さを唱え、「整形外科」「美容外科」「美容皮膚科」「リハビリテーション科」を一つの科として診療している。
著書
「3か月で10歳若返る わたしはリバースエイジングドクター」(H304月1日発刊予定)
メディア掲載歴
『Domani』2018年3月号、『VoCE』2017年11月号、『厳選 クリニックガイド』、『VOGUE』2017年9月号、『VoCE』2017年4月号、『VoCE』2017年3月号、『ViVi』2016年8月号、『VoCE』2016年6月号、『InRed』2016年6月号、『VOGUE』2016年1月号、『DRESS』2016年2月号、『MAQUIA』2016年2月号、『VoCE』2015年2月号、『VOGUE』2015年1月号、『MyAge』2015年秋冬号、他多数





