膝痛にゼラチンは効果的?軟骨との関係と注意点を解説
2015/08/27
2026/06/08
監修: 光伸メディカルクリニック院長 中村 光伸
膝の痛みが続くと、階段の上り下りや立ち上がる動作がつらくなります。病院へ行くほどなのか迷いながら、まずは食事やサプリメントで何かできないかと考えることもあると思います。
その中で、「膝痛にはゼラチンがよい」「コラーゲンを取ると軟骨にいい」と聞いたことがあるかもしれません。
ゼラチンはコラーゲン由来の食品です。ただし、ゼラチンを食べれば膝の軟骨が再生して痛みが治る、とは言い切れません。
膝痛の原因は、変形性膝関節症、半月板損傷、靭帯のトラブル、関節リウマチ、炎症などさまざまです。ゼラチンやコラーゲン食品だけで判断せず、痛みの原因を知ったうえで対策を選ぶことが大切です。
この記事では、ゼラチンと膝痛の関係、期待できる可能性、摂取するときの注意点、受診したほうがよい膝の痛みについて整理します。
- ゼラチンとは何か
- 膝痛にゼラチンがよいといわれる理由
- ゼラチンで膝の軟骨は再生するのか
- ゼラチンを取り入れるときの考え方
- ゼラチンに頼らず見直したい膝痛対策
- ゼラチンでは対応できない膝の痛み
- 膝痛とゼラチンでよくある質問
- まとめ
1.ゼラチンとは何か
ゼラチンは、牛や豚などの動物に含まれるコラーゲンを加熱・抽出して作られる食品です。温かい液体には溶け、冷えると固まる性質があるため、ゼリー、ムース、ババロア、煮こごりなどに使われます。
似た食材に寒天がありますが、寒天は海藻由来です。ゼラチンは動物性、寒天は植物性という違いがあります。また、ゼラチンはやわらかくなめらかに固まり、寒天は比較的しっかり固まりやすい特徴があります。
ゼラチンの主成分はたんぱく質です。コラーゲン由来の食品ではありますが、食べたゼラチンがそのまま膝の軟骨になるわけではありません。体内では消化され、アミノ酸やペプチドとして吸収されます。
まずは、「ゼラチンは薬ではなく、コラーゲン由来の食品」と捉えると、過度な期待を避けやすくなります。
2.膝痛にゼラチンがよいといわれる理由
膝痛にゼラチンがよいといわれる背景には、膝関節の軟骨とコラーゲンの関係があります。
膝関節では、骨の表面を関節軟骨が覆っています。軟骨は、膝にかかる衝撃をやわらげ、関節をなめらかに動かす役割を持っています。
加齢や体重の増加、筋力の低下、膝への負担の積み重ねなどによって軟骨がすり減ると、膝に痛みやこわばりが出ることがあります。代表的な病気が「変形性膝関節症」です。
日本整形外科学会では、変形性膝関節症の症状として、初期には立ち上がりや歩き始めに痛みが出ること、進行すると正座や階段の昇降が難しくなり、末期には安静時にも痛みが出ることがあると説明しています。
ゼラチンはコラーゲン由来の食品であるため、「コラーゲンを取れば軟骨によいのでは」と考えられてきました。近年は、ゼラチンそのものよりも、コラーゲンペプチドや非変性II型コラーゲンなどを使った研究で、膝の痛みや機能への影響が調べられています。
ただし、研究で使われる成分・量・期間は製品や試験によって異なります。家庭で使う粉ゼラチンと同じように考えるのは避けたほうが安心です。
3.ゼラチンで膝の軟骨は再生するのか
「ゼラチンを食べると、すり減った軟骨が再生する」と聞くと魅力的に感じます。けれども、この表現は慎重に扱う必要があります。
口から取ったゼラチンやコラーゲンは、消化の過程で分解されます。その一部が体内で利用される可能性はありますが、食べた分がそのまま膝の軟骨に届き、すり減った軟骨を元通りにするわけではありません。
コラーゲン関連成分については、膝の変形性関節症の痛みを軽くする可能性を示した研究報告があります。一方で、効果の大きさや対象者、摂取量、摂取期間には違いがあり、すべての膝痛に同じように効くとはいえません。
ゼラチンは膝痛治療の代わりではなく、食生活の中で補助的に考えるものです。
膝の痛みが続いている場合は、まず痛みの原因を確認しましょう。原因が分かると、運動、体重管理、薬、リハビリ、装具、注射、手術など、今の状態に合った対策を選びやすくなります。
4.ゼラチンを取り入れるときの考え方
ゼラチンを食生活に取り入れること自体は、多くの人にとって難しいことではありません。粉ゼラチンはスーパーでも手に入りやすく、ゼリーやスープ、飲み物などに使えます。
ただし、膝痛対策として取り入れる場合は、次の点に注意しましょう。
治療効果を断定しない
ゼラチンは食品です。医薬品のように膝痛を治すものではありません。「飲めば治る」「軟骨が増える」と考えるより、たんぱく質を含む食品のひとつとして取り入れるほうが自然です。
取りすぎない
ゼラチンはたんぱく質を含む食品です。大量に取れば効果が高まるわけではありません。食事全体のバランスを崩さない範囲で使いましょう。
今日から試すなら、ゼリーやスープに少量加える程度から始めると続けやすくなります。
砂糖の多いゼリーに注意する
ゼラチンを取るために甘いゼリーを毎日たくさん食べると、糖分やカロリーが増えやすくなります。体重が増えると、かえって膝への負担が大きくなることがあります。
取り入れるなら、無糖の飲み物、スープ、甘さ控えめのゼリーなど、余分な糖分を増やしすぎない形が向いています。
アレルギーや持病がある人は確認する
ゼラチンは動物由来の食品です。ゼラチンアレルギーがある人は避ける必要があります。また、腎臓病などでたんぱく質制限を受けている人は、自己判断で増やさず医師や管理栄養士に相談してください。
5.ゼラチンに頼らず見直したい膝痛対策
膝痛では、食品だけに頼るより、膝にかかる負担を減らし、支える力をつけることが大切です。
変形性膝関節症の治療では、生活指導、減量、運動療法、薬物療法、装具、注射、手術などが状態に応じて選ばれます。日本整形外科学会の情報でも、痛み止めの内服薬や外用薬、ヒアルロン酸注射、大腿四頭筋の強化訓練、関節可動域改善訓練などが治療として紹介されています。
太ももの筋肉をつける
膝を支えるうえで大切なのが、太ももの前側にある大腿四頭筋です。筋力が弱くなると、膝関節への負担が増えやすくなります。
痛みが強くない範囲で、椅子に座って片脚をゆっくり伸ばす運動などから始める方法があります。ただし、痛みが増える場合や腫れがある場合は無理をせず、整形外科や理学療法士に相談してください。
今日からできることは、椅子に座った状態で片脚をゆっくり伸ばし、数秒止めて下ろす動きを左右数回ずつ試すことです。痛みが出る場合は中止しましょう。
体重を見直す
体重が増えると、歩く、階段を上る、立ち上がるといった日常動作で膝にかかる負担も増えます。急なダイエットではなく、間食や甘い飲み物を見直すだけでも、膝への負担を減らす手がかりになります。
今日からできることは、毎日飲んでいる甘い飲み物を、まず1杯だけ水やお茶に替えてみることです。
膝を冷やしすぎない
冷えで膝まわりがこわばると、動き出しがつらく感じることがあります。入浴で体を温める、膝まわりを冷やさない服装にするなど、日常の中でできる工夫があります。
ただし、膝が赤く腫れて熱を持っている場合は、炎症が起きている可能性があります。その場合は温めず、医療機関で相談してください。
痛みを我慢して歩きすぎない
運動は大切ですが、痛みを我慢して歩き続けると悪化する場合があります。歩いたあとに痛みや腫れが強くなるなら、運動量が今の膝に合っていないサインです。
「歩けばよくなる」と決めつけず、痛みの出方を見ながら調整しましょう。
6.ゼラチンでは対応できない膝の痛み
膝の痛みには、ゼラチンや食品の見直しだけでは対応できないものがあります。
次のような症状がある場合は、早めに整形外科を受診してください。
- 膝が腫れている
- 膝に熱感がある
- 急に強い痛みが出た
- 転倒やスポーツ後から痛む
- 膝が引っかかる、動かしにくい
- 歩くと膝が崩れる感じがする
- 安静にしていても痛い
- 痛みが数週間続いている
半月板損傷、靭帯損傷、関節リウマチ、痛風、感染、骨折などが隠れている場合もあります。自己判断で食品やサプリメントだけに頼ると、必要な治療が遅れることがあります。
膝痛が続くときは、まず原因を知ることが次の対策につながります。
7.膝痛とゼラチンでよくある質問
Q.ゼラチンを飲めば膝痛は治りますか?
A.ゼラチンだけで膝痛が治るとはいえません。コラーゲン関連成分については痛みの軽減を示す研究もありますが、膝痛の原因によって必要な対策は異なります。痛みが続く場合は整形外科で原因を確認しましょう。
Q.ゼラチンとコラーゲンサプリは同じですか?
A.どちらもコラーゲン由来ですが、同じとは限りません。サプリメントでは、コラーゲンペプチドや非変性II型コラーゲンなど、吸収や働きを考えて加工された成分が使われることがあります。家庭用の粉ゼラチンと研究で使われた成分を同じものとして扱うのは避けましょう。
Q.ゼラチンは毎日取ってもいいですか?
A.食品として少量を料理に使う程度なら取り入れやすい方法です。ただし、取りすぎればよいわけではありません。アレルギーがある人、腎臓病などでたんぱく質制限がある人は、医師や管理栄養士に相談してください。
Q.ゼラチンを取るならいつがよいですか?
A.特定の時間に取る必要はありません。続けやすさを優先し、スープや飲み物、甘さ控えめのゼリーなど、普段の食事に無理なく入れる形がよいでしょう。
Q.膝痛にはサプリメントより運動のほうが大事ですか?
A.膝痛の原因にもよりますが、変形性膝関節症では運動療法や体重管理が基本的な対策として重視されています。サプリメントや食品は補助として考え、膝を支える筋力や生活習慣の見直しも一緒に進めましょう。
8.まとめ
ゼラチンは、牛や豚などのコラーゲンを原料にした食品です。膝の軟骨にもコラーゲンが関係するため、膝痛に役立つのではないかと注目されてきました。
ただし、ゼラチンを食べれば膝の軟骨が再生する、膝痛が治る、と断定することはできません。コラーゲン関連成分については膝の痛みを軽くする可能性を示す研究もありますが、効果には個人差があり、すべての膝痛に当てはまるわけではありません。
膝痛を感じたら、まずは痛みの原因を知ることが大切です。そのうえで、体重管理、太ももの筋力づくり、無理のない運動、必要に応じた医療機関での治療を組み合わせて考えましょう。
ゼラチンを取り入れるなら、甘いゼリーを増やすのではなく、スープや飲み物などに少量使うところから始めると無理がありません。
膝痛対策で大切なのは、ひとつの食品に頼ることではなく、膝にかかる負担を減らしながら、今の状態に合った方法を選ぶことです。
出典
監修者
中村 光伸
光伸メディカルクリニック(東京 新宿)院長
医学博士
日本整形外科学会専門医
日本整形外科認定スポーツ医
日本整形外科認定リウマチ医
日本体育協会公認スポーツドクター
日本抗加齢学会認定専門医
日本胎盤臨床医学会認定専門医
日本美容皮膚科学会
日本レーザー治療学会
東京生まれ。北里大学医学部卒業、北里大学整形外科入局。
学位習得後、フンボルト大学外傷再建外科学(ドイツ)・チャンガン大学形成外科美容外科(台湾)へ留学。
Jリーグヴァンフォーレ甲府チームドクター、山梨学院大学陸上競技部(駅伝)チームドクターを歴任。
北里大学整形外科専任講師、北里大学救命救急整形外科部長、松倉クリニック&メディカルスパ等を経て、2011年12月、自身の理想とする医療を実現するため「光伸メディカルクリニック」を開業。 “リバースエイジング・健康寿命を延ばす”を命題に“見た目”の大切さと“動き目”の大切さを唱え、「整形外科」「美容外科」「美容皮膚科」「リハビリテーション科」を一つの科として診療している。
著書
「3か月で10歳若返る わたしはリバースエイジングドクター」(H304月1日発刊予定)
メディア掲載歴
『Domani』2018年3月号、『VoCE』2017年11月号、『厳選 クリニックガイド』、『VOGUE』2017年9月号、『VoCE』2017年4月号、『VoCE』2017年3月号、『ViVi』2016年8月号、『VoCE』2016年6月号、『InRed』2016年6月号、『VOGUE』2016年1月号、『DRESS』2016年2月号、『MAQUIA』2016年2月号、『VoCE』2015年2月号、『VOGUE』2015年1月号、『MyAge』2015年秋冬号、他多数





